弊社は、投資家として影響力を行使することにより、長期的に安定した成長と、重大なESG リスクの継続的な削減を可能とするサスティ ナブルなビジネス・プラクティスの採用を企業に対して促すことを目指しています。
エンゲージメント活動においては、企業の経営戦略やバリュエーションの基盤となるESG の課題への理解を深めるため、投資先企業との 率直な対話の機会を設けています。弊社では、エンゲージメント活動を通じて、投資先企業のバリュエーションやファンダメンタルズ または経営戦略に影響を及ぼすESG リスクを低減させることにより、長期的なリスク調整後リターンを向上させることを目指しています。
エンゲージメント活動の中では、企業行動を長期的により好ましい方向へ変化させることを目指し、必要に応じて企業に対してビジネス慣行についての説明や、ESG に関する情報開示の改善を求める一方で、企業のESG 戦略をモニタリングの上、フィードバックを提供する活動などを行っています。
弊社では他の投資家との協働エンゲージメント活動も行っています。協働エンゲージメントのメリットは、他の投資家や業界専門家と協力することで、ESG の課題やマクロ経済問題およびシステミックな問題への影響力を高めることが可能となる点です。2017 年にはメタンガス排出、サイバーセキュリティ、気候変動リスクに関する業界エンゲージメント3 件を含む、10 件の協働エンゲージメントを行いました。
記事全文(PDF)をダウンロード
弊社エンゲージメント方針はこちら
マニュライフ・アセット・マネジメントのグローバル・エンゲージメント活動
60社 | | 10件の協業的 エンゲージメント |
図1:エンゲージメントの地域別内訳 | | 図2:エンゲージメントの業種別内訳 |
弊社は14カ国でエンゲージメント活動を実施しており、その大半(83%) がアジアと北米です。  北米 47% アジア 36% オーストラリアおよびニュージーランド 3% 欧州 14%
出所:マニュライフ・アセット・マネジメント、2017年12月31日現在 | | エンゲージメント活動は9業種にわたり、最大の割合を占めるのは金融(35%)で、次が一般消費財(11%)です。これらセクターは主要ベンチマークで大きな割合を占めており、社会およびガバナンスに関する問題発生率も高い傾向にあります。  金融 35% 資本財 5% 電気通信サービス 5% エネルギー 7% 素材 10%
| 生活必需品 7% 情報技術(IT) 10% ヘルスケア 10% 一般消費財 11%
|
出所:マニュライフ・アセット・マネジメント、2017年12月31日現在 |
|
図3.1:エンゲージメントのテーマ(ESG要素)別内訳 | | 図3.2:エンゲージメントのテーマ(重点トピック)別内訳 |
 環境(E) 38% 社会(S) 29% ガバナンス(G) 33%
出所:マニュライフ・アセット・マネジメント、2017年12月31日現在 | |  取締役会の構成 23% 従業員の能力開発 15% 役員報酬 10% サイバーセキュリティ 9% 排出関連 7% 製品の品質および安全性 7% サプライ・チェーン 6% 土地活用 5%
| 水 3% エネルギー消費 3% 株主の権利 3% 気候変動 3% 汚染 2% 贈収賄 2% その他 2%
|
出所:マニュライフ・アセット・マネジメント、2017年12月31日現在 |
|
マニュライフ・アセット・マネジメントはESG への取り組み方針に明記しているように、長期的に成功を収める企業は健全なガバナンスを実践すると考えています。この考え方は、上位3 つのテーマのうち2 つがガバナンス関連であることに表れています。もう1 つのテーマは従業員の能力開発です。有能な人材の採用、トレーニングおよび人材の定着化を重視する企業は長期的に持続可能なビジネス・モデルを有する傾向が同業他社と比較して高いと弊社は考えています。
 | | ケース 1 運用チームは、豚肉生産の企業グループと面談し、ビジネス上の基本的な問題に加え、二酸化炭素排出に関する開示が不十分である点など、ESG に関する課題について話し合いを行いました。結果的に、提起した疑問点に関して同社から明確な説明はありませんでした。エンゲージメント活動を通じて得た情報と弊社独自の分析により、同社のリスク/リターン特性は相対的に魅力的ではなく、ESG に関する情報開示が透明性に欠ける点が明らかになったため、運用チームは同社への投資を中止することを決定しました。 ケース 2 ある金属・採鉱企業は、テーリング・ダム(鉱山の選鉱・製錬等で発生する不用な鉱物を無害化処理した後に水分と固形分に分離し、その固形分を堆積させる施設)の崩壊に関連した賠償請求に備えて多額の引当金を計上していました。弊社では、リスク管理の改善と将来の訴訟回避のために何らかの措置を講じているか、引当金が係争中の民事および刑事訴訟に対して充分な水準であるか、そしてESG 調査機関に対して適時かつ能動的な情報伝達を行ったかどうかといった観点から、同社に対するエンゲージメント活動を行いました。 同社へのエンゲージメントを通じて、運用チームは様々なタイプのテーリング・ダムのリスクとリスク低減プロセスについての知見を得ることができました。訴訟とその後の政府による監視強化への対応が行われた結果、情報開示は改善され、同社の同業他社との比較もしやすくなりました。 運用チームは、経営陣が適切な措置を講じたことを評価し、議決権行使において経営陣を支持しました。 |
|
 | | ケース 3 ある金融機関は、外部のESG 調査機関やデータ・プロバイダーから低い格付評価をされており、ESG の情報開示が不十分であることがその要因と見られていました。運用チームは同社経営陣と面談し、優れた人材の活用、インセンティブ、人材の定着化といった「社会(SOCIAL)」面を含む、ESG に関する様々な課題についての情報提供を求めました。同社は、ダイバーシティ、インクルージョン、人材の定着化に関する方針を説明しました。運用チームはESGの課題に対する同社の対応を評価し、同社への投資を継続しています。 |
|
 | | ケース 4 ある自動車メーカーは、グローバル、国内および業界の同業他社よりもガバナンスの評価が低かったため、投資対象から除外されていました。運用チームは同社経営陣と面談し、取締役会の独立性、製品リコールに備えた引当金の計上、業界の二酸化炭素排出スキャンダルに関する同社の取り組みについて説明を求めました。同社からは満足のいく説明が得られなかったため、運用チームは同社への長期的な少数株主持分投資に懸念を持ちました。そのため同社をポジション削減のためのウォッチ・リストに載せ、最終的にはポジションを解消しました。 |
|
 | | ケース 5 弊社は2016 年に、ある中規模銀行に対するエンゲージメント活動を行いました。2016 年に同行へのエンゲージメントを実施した目的は、投資家としての影響力を行使して同行の業務に関するサステナビリティ項目についての報告を求め、ガバナンスのベスト・プラクティスの実践を促すことでした。同行が2017 年第1 四半期に初のサステナビリティ・レポートを公表した点を評価しています。また、2016 年に明らかとなったガバナンス問題の一部は改善するか、既に解決されています。弊社は2017 年を通じて、サイバーセキュリティ、気候変動、製品の安全性などを含む幅広いESG の問題について、継続的に同行に対するエンゲージメント活動を行いました。 |
*当ページでは、上場株式および債券に関するニュライフ・アセット・マネジメントのエンゲージメント活動について述べています